世界の果てのこどもたち

戦時中、高知県から親に連れられて満洲にやってきた珠子。
言葉も通じない場所での新しい生活に馴染んでいく中、彼女は朝鮮人の美子(ミジャ)と、恵まれた家庭で育った茉莉と出会う。
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お互いが何人なのかも知らなかった幼い三人は、あることをきっかけに友情で結ばれる。
しかし終戦が訪れ、珠子は中国戦争孤児になってしまう。美子は日本で差別を受け、茉莉は横浜の空襲で家族を失い、三人は別々の人生を歩むことになった。

あの戦争は、誰のためのものだったのだろうか。
『きみはいい子』『わたしをみつけて』で多くの読者に感動を与えた著者が、二十年以上も暖めてきた、新たな代表作。


ハードカバーだったので通勤には重かったけど、本日読み終えました。
初めて、通勤途中に泣きそうになってしまった・・・・あぶねぇ

戦争中の悲惨な物語は沢山聴いたり見たりしたけど、終戦後は更に混沌とした惨たらしい日々だったんだなと改めて感じる作品でした。

幼い日に見た「中国残留孤児」、知識としては認識している「朝鮮人差別」、言葉だけ知っている「文化大革命」、「満州からの引揚げ」・・・・・・ようやくこの本で全てが重なった気がします。

日本人の珠子が、長い年月を経て日本語や故郷のことなど、ほとんどを忘れてしまうという現実。
戦争と、それが生み出す狂気、それに翻弄される罪もない人たち。

改めて今の時代の裕福さ、先祖への感謝を感じずにはいられない超名作だったと思います。

描写がリアルで、ところどころ目を背けたくなる場面も多数あります。
それでも一度は読んでおいてもらいたい、そんな本でした。
by ds-kyo-saku-dai | 2016-06-14 00:06 | ◇DS本を読む | Comments(0)